これが、弊社の資格手当の決め方です。

弊社には過去、資格手当というものが存在していませんでした。
正確には存在はしていたのですが、一部の部署のみ、一部の人のみでした。

F社長になってから就業規則が改訂され、給料体系も変わりました。
今までの給料体系からガラリと一新されたものの、第一印象は「給料低い」という改悪になってしまいました。
弊社に人生を捧げ、退職年齢になったときに生涯もらえる額を計算すると、悲観的な意見しかありませんでした。

F社長

給料・退職金の制度は、今後の業績によって変えていきたいと思っています。いつとは言えないが、増やしていきます。

そんな発言がF社長からあったものの、正直望みは薄いですし、この言い方が某ギャンブル漫画に出てくる利根川の台詞みたいで信用できませんでしたね。

「出す…!出すが…今回まだその時と場所の指定まではしていない。どうかそのことを諸君らも思い出していただきたい。つまり…我々がその気になれば金の受け渡しは10年20年後ということも可能だろう…ということ…! 」

賭博黙示録カイジ 利根川幸雄

このままでは給料が上がることに希望が見いだせない、そして社員たちは考えました。
「資格手当を作って、少しでも毎月の給料を上げよう」と。

目次

資格手当案を提出する

幸い、F社長も資格手当を作ることには前向きでしたので話は割とスムーズに進んでいきました。

F社長

では、各部署ごとに作りたい資格手当の詳細情報を提出してください。
資格名、資格の内容、取得難易度、何故必要か、資格を持っていることで仕事にどう役に立つかをまとめてください。

各部署ごとの役職者さんが案をまとめて社長に提出後、必要であると判断された資格が決まり、取得難易度に応じて金額も決まるということですね。
とりあえずは案なので、出せるだけ出して欲しいということで部署内の皆で話し合い、10個ほど候補が出ました。

期日になり、各部署から資格手当案が提出されて、今度はそれを社長と管理職が話し合います。

資格手当が決まる

結果的には、各部署平均5つの資格手当が設置されることになりました。
金額的には資格1つにつき、1000円~10000円のピンキリです。そこはF社長の独断です。
全部取得すれば、月額15000円程度は給料が増える算段です。

資格手当案の会議内容を聞いたところ、F社長が最初は1つ5000円や10000円と発言していたそうなのですが、だんだんと金額が下がっていき、平均2000~3000円ほどになってしまったようです。

F社長

資格手当は不変のものなので、一度決めたらその金額をずっと毎月支払わないといけない。全員が全部取得したらかなりの金額になってしまう。
そう考えると高い金額で設定すると大変な出費になる。
そもそも、うちの仕事でそんなに資格が必要ですかね?

というF社長の独断意見の結果、当初の金額よりも少なくなってしまったようです。
なんだそれって感じですね。資格手当を前向きに検討していきたいって発言はどこへやら。
でもこれが弊社の日常なのです。社長の意見が変わりやすいのはいつものことなのです。

そうして決定した資格手当一覧は、めでたく就業規則に掲載されることとなりました。
金額設定が低いことや、社長の話などを聞いて、社員のモチベーションは逆に下がったりもしましたが。
結局は、弊社では給料を上げることは難しいのだなと実感しました。

でも、ゼロよりかは1000円でも2000円でも毎月上がるなら・・・資格取得の為にがんばって勉強する!
とならないのが弊社です。
既に資格を持っている人はプラスになって良かったとは思いますけどね。

資格手当がいつの間にか増えていた

それから数か月後、新人さんが入社しました。女性の方です。

当時はコロナ禍だったので、歓迎会というものはできなかったのですが、F社長含む数名でひっそりと歓迎会をしていたようです。歓迎会という名の飲み会ですけどね。

女性が入社してきたということは、F社長は何だかんだ理由をつけて必ず飲み会に誘うだろうと思っていました。
別に飲み会に行くのは良いと思うんです。

ただ、F社長の場合はそれを隠すようにして行くから賛同を得られないんですよね。
しかし弊社のような小さい会社では、隠し事はほぼ無理ですし、必ずどこからか情報が洩れます。

その隠れ歓迎会に参加した人たちも、F社長のそういう性格は把握していますので、しかたなく参加しています。
特に今回は新人さんが女性ということなので、絶対にF社長と2人きりで飲み会をさせるわけにはいかないということで、数名が参加したそうです。(セクハラ予防の観点から)


その飲み会から数日後、たまたま就業規則の資格手当一覧を見ていたときのことです。

「あれ?何か知らない資格が増えている・・・?」

以前は書いてなかった資格が増えているんです。
間違いではありません。
なぜなら、最初に就業規則に掲載された資格手当一覧は資料として手元に残しておいたので・・・。
その資料と見比べてみても明らかに増えている。

しかも手当金額が他の手当と比べると、3倍以上に設定されていたのです。
資格名も調べてみたけど知らないものでした。
というか、この資格はこの部署で必要なものなのか?
他の安い金額で設定されている資格の方が必要な資格ではないのか?
そもそも社員に通知もなくて資格手当を増やしてることは良いことなの?

ここで気づきました。
ああ、あの飲み会だ、と。

F社長と女性新人さん含め、数名で行われた歓迎会(という名の飲み会)。
きっとその飲み会の日に新人さんと話した結果、新人さんの給料を増やすためにされた処置なのだろうと。

真相を確かめるべく、管理職の人に聞きにいきました。

結果、思っていた通りの答えが返ってきました。

管理職さん

ああ、あれね。
そうだよ、社長の独断だよ。
飲み会のときに新人さんに給料の話をされたらしくてさ。
ちょっと「低い」って言われたけど、増やすなんてことはできないから、
じゃあ資格何か持ってる?って話になってね。

「それで新人さんが持っている資格に資格手当を付けてあげたと・・・?」

管理職さん

そういうこと。
まあ、女性だからきっと社長も気分良くなってそういう結果になったんだと思う。異例だけどね。

「入って1か月も経ってない新人さんにそんな対応して良いんですか。長く在籍している社員が馬鹿みたいですよ。資格手当を作るときは皆で資料作って吟味してってやってたのに。知らない間に社長の独断で資格手当が増えるだなんて、しかもそれが新人さんの給料を増やすためって・・・これって良いことなんですか」

管理職さん

まあ、良くはないよね。
でも仕方がない。どうにもできないよ。
あの社長に何を言っても無駄だし。きっと今回だけだ、と思うしかないよ。

それと、資格手当を勝手に増やすのは別に良いみたいだよ。
就業規則に書かれているけど、就業規則とは別枠みたいだから。
社員に言わなくても良いんだってさ。

「そ、そうなんですか・・・」

納得はいかなかったが、納得するしかなかったですね。
社長に何を言っても無駄、この言葉が全てを物語っていましたね。


こうして、弊社に新しい資格手当が追加されることになりました。
今後も知らぬ間に新しい資格手当が、社長の独断で増えていくのでしょうか。
これはどこの企業でも起こり得ることなのでしょうか。
弊社の社長だから起きたということでもないのかどうか。
わかりません・・・わかりませんが、モヤモヤしか残りませんでした。

う~ん、控えめに言って、クソな出来事でした。

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