駅のトイレに入ると
![](https://chabudai-nj.com/wp-content/uploads/2009/08/sipu-225x300.jpg)
壁に湿布が貼ってあった。
「なぜ・・・?」
そう問いかける僕に、湿布は答えてはくれない。
僕は用を足しながら横目で湿布を見つめる。
「もしかして、この湿布の裏に何かメッセージが書かれているんじゃないか?」
僕がその湿布を剥がそうとしたとき、
コンコン、とドアがノックされた。
ノックに対し、僕はノックで応答する。
そう、僕はここに、いる。
用を足している。
ノックに遮られたので、もう一度湿布に手を伸ばす。
すると、またコンコン、とノックがする。
今、入っているって応答したばかりなのに・・・!
せっかちな奴だ。
相当漏れそうなのだろうか。
「おやめなさい」
外から声がした。
「あなたが今剥がそうとしている物、それは奇跡の一枚なのです」
「えぇ!?奇跡の一枚だって!?」
僕は驚いた。
ふりをした。
というか、さっきから外の人は何を言っているんだ?
早く用を足したいからといって、中にいる僕に話しかけるのはやめてほしい。
でも、奇跡の一枚って・・・
どういうことだ?
この湿布が奇跡?意味が分からない。
「奇跡が・・・気になるようですね」
僕の心を見透かしたように、外のやつが言った。
「ならば教えましょう。奇跡の意味を」
特に何も言っていないのに勝手に語りだした。
「あなたは経験があるかもしれませんが、急な腹痛に襲われて駆け込んだトイレ、すっきりした後に紙がなかったらどうするのです?」
そういう経験は確かにあった。
その時、僕は店員さんを呼んだんだ。
「あなたはトイレットペーパーの芯を使うかもしれない、でも、それでも足りない。その場合、どうするのです?」
「ど、どうするって・・・手で拭けというのかよ?」
「まだ分からないのですか?奇跡の意味・・・」
そこで僕は、気づいた。
こいつの言いたいことが分かった。
「この湿布で・・・拭く、ということか・・・?」
「やっと理解したのですね。そうです、絶望の中、紙の変わりになる存在。まさに神のような存在に成り代わる湿布。諦めていたその時、壁に湿布があったらどうします?使うでしょう?使わざるをえないでしょう?それこそ、まさに奇跡!」
「・・・!!」
すげえ、確かに・・・そうかもしれない。
この一枚の湿布が奇跡の一枚になるかもしれない。
それにしてもトイレで熱弁する外の人は一体何なんだろう。
きっと変態さんに違いない。
とか色々妄想してみたけど、これはねーわ。
壁に湿布貼るなよ。
ゴミ箱あるんだから、そっちに捨ててよ。
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コメント一覧 (2件)
爆笑しました(^O^)
今回は養命酒の効果あるといいですね!
にゃんたろうさん>
ほんと、効果が早くでればいいなと思います。