オニオンナイトはLv.99

日曜といえば買出し。
近所のスーパーへ行っちゃうよ!
一週間分の食材を籠に入れて、いざレジへ!

おっと、なんか創業祭してるよ。
「ポイント貯めて商品券ゲットだぜ!」みたいなキャンペーンしてるみたい。

「現在、創業祭をやっておりまして、●●●カードをお配りしております!お持ちですか!?なければ無料でお作りいたします!」

夕方で混んでるにも関わらず、一人一人のお客さんに聞いている。
偉いね。がんばってるね!
そういえば僕もそのカード持ってなかったな。
せっかくだし貰おうかな。
そしてレジは僕の番。

「いらっしゃいませ~」

ピッピッピッ・・・

「●円になります」

僕はぴったり渡した。

「はい、ちょうどお預かりいたします。ありがとうございました~」

あれ?

キャンペーンのカードは?
もう無くなったのかな?
そして袋に食材をつめる僕。

「現在、創業祭をやっておりまして、●●●カードをお配りしております!お持ちですか!?なければ無料でお作りいたします!」

言っとる。
ちゃんと言っとるよ!
僕だけ・・・スルー!?

あ、ああ!
そうか。そういうことか。あれだ。
そういえばそうだったじゃないか。
今までそんな経験たくさんしてきたじゃないか。
「なかったことにした」ってことか。
いやー、便利だよね。
なかったことにすれば全て解決だもんね。

実際あったことをなかったことにする。
実際いたことをいなかったことにする。

いやー便利だわ。
久しく忘れてたわ。
数年前は騙す、騙されるの毎日だったじゃないか。
最近、平和ボケしちゃってたのかな。
ははは・・・ははは・・・。

「どうしたんですか?大丈夫ですか?」

気がつくとオバチャンが僕にハンカチを差し出していた。

「えっ?えっ?なんですか?」

「いえ、その・・・泣いてらっしゃるから・・・」

「!!」

本当だ。
僕はいつのまにか涙を流していた。

「あ、ははは、違います。これ汗です。目から汗が・・・ははは、大丈夫ですよ。大丈夫ですから・・・」

僕は汗を拭うとすぐにスーパーから出た。
外はもう日が暮れていた。

「日が沈むのが、早くなったな・・・」

あれからもう10年―――。
全て良い思い出にして片付けたじゃないか。
そう、ケリはつけたんだ。
なぜ今になって・・・?

「おっと・・・」

段差に躓きそうになって、体勢を少し崩した。

「こんな段差に躓くなんて・・・どうかしてる。今日は早く帰って飯食べて寝よう」

「あの・・・」

後ろから声をかけられた。

「これ、落としましたよ・・・タマネギ」

「え?ああ、すいません・・・ありがとうございま・・・」

僕は振り返って驚愕した・・・。
あの日々が、頭に流れ込んできた。

「お前・・・は・・・!!」

そして物語は再び、動き出さない・・・!!

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コメント一覧 (2件)

  • おひさしぶりです。
    久々に来たんですが、ここは変わってなくて、嬉しかったです。
    いえっ、変わり映えがしないとかっ、
    そういう意味じゃなくて、
    いつでも、そこにある我が家的な…
    オニオンナイト…
    思わず、涙しそうになっちゃいました…
    がんばっ!!
    私のカード貸してあげるからっ!!

  • ば~むく~へんさん>
    移り変わりの激しい世の中、人の心。
    そんな中でも不変の心でいきたいと思ってます。
    がんばります。

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