親族の介護を手伝った話(27)~遺族年金の申請に行く

前回までのあらすじ

親族の介護を手伝うことになって早数ヶ月。
介護対象者は70代老夫婦の旦那さん。寝たきり状態で要介護2から要介護5へ認定変更。

特養への入所も完了したけど、病院に連れて行ったりとなかなか忙しい日々を過ごす。
そして年末が近づいた頃、旦那さんの訃報連絡があり、施設で看取る。

葬儀も無事終わり葬儀代の支払いも完了。この後は手続き関連がてんこ盛り状態。
まずは区役所と年金事務所へ行って、できる限りの手続きを行った。
遺骨は旦那さんの遺言通り、散骨にて対応。

特養施設の支払いも完了し、次は年金事務所へ遺族年金の申請へ!

以前、亡くなった旦那さんの年金停止の手続きのために年金事務所に行きました。

そのときに、奥さんが遺族年金が受け取れる対象者ということで手続きをすることになったのですが、手続きは予約制のため、1ヶ月ほど間があきました。

そして当日———。事前に記入する用紙や、必要な物は準備万全です。

まあ、事前の記入用紙の確認や、持参する物の準備は僕の方で頑張ったんですけど。

必要な書類など備考
基礎年金番号通知書
または、基礎年金番号が分かる書類
コピー可。なくても良い。
死亡された方と請求者の年金手帳を持っていけばOK。
年金証書・恩給証書コピー可。なくても良い。
戸籍謄本や法定相続情報一覧図戸籍謄本は区役所にて、年金用として無料で貰える。
死亡された方&請求者の分が必要。
法定相続情報一覧図は自分で作成するものだが、今回は必要なかった。(家の相続時に作成します)
住民票(世帯主・続柄・変更事項の記載があるもの)区役所にて、年金用として無料で貰える。
死亡された方&請求者の分が必要。
住民票の除票区役所にて、年金用として無料で貰える。
死亡された方の分のみ。
死亡診断書コピー可。
ここでも使用しますので先に複数枚コピーしておいて正解だった。(参考記事
請求者名義の預貯金通帳
請求者名義のキャッシュカード
コピー可。
金融機関名や支店番号などが明記されているもの。
貯蓄口座では年金の受け取りができないようです。
未支給年金・未支払給付金請求書今回は必要なし。というか、持ってない。
顔写真付きの身分証明書
医師の診断書・交通事故証明書
身体障害者手帳
これは持っている人のみ対象。
死亡された方&請求者のマイナンバーカードは持っていきました。

そもそも、なぜ遺族年金を申請するかというと、高齢者夫婦が年金暮らしをしていた場合に、どちらかが亡くなると(主に旦那の方)生活年金が半分以下に減ってしまうわけです。

今の高齢者夫婦であれば、恐らく旦那さんの方が年金受給額は多い傾向にあると思います。

女性よりも男性の方が長い期間働いていることが多いので、その分納めていた年金も多くなりますし、厚生年金も長く納めていれば更にプラスですからね。

でもそんな旦那さんが亡くなってしまったら、支給されていた年金額はゼロになり、奥さん側だけの年金で生活しなければいけなくなります。

そうなると現実問題、生活をするのに十分という生活費ではない家庭が多くなると思います。貯金を削らないと生きていくのは難しいという状況になる傾向。

そんな残された配偶者(家族)を助けてくれるのが、この遺族年金制度になります。

もちろん、離婚していたら貰えませんので注意です。

亡くなった人の分の年金額をもらえるの!?と勘違いしそうですが、そうではありません。

細かい計算式があるようなのですが、ざっくり計算すると亡くなった人が貰っていた年金の半分、多くて2/3ほどです。

それでも、残された配偶者にとっては大変助かります。

ここでいう遺族年金は、遺族厚生年金の方です。

貯金がなければ節約はしかたがないにしても、ものすごい贅沢しない限り普通に生活ができると思います。

とは言っても、金銭感覚は人によりますので、なんとも言えません。

客観的に見て、僕個人としてはこれだけ年金を貰っているなら贅沢しなければ普通に年金だけで生活できるな、という印象です。

たまにテレビニュースとかで、高齢者の年金受給状況のインタビューをしていますが、「足りない、少ない」って言っている人は以下の理由だと思っています。

生活するのに年金が少ないと文句を言っている人
  • 若い頃に年金を納めていない時期が多い。
  • 厚生年金を支払っていない。
  • 離婚している。
  • 遺族年金の申請をしていない。
  • 金銭感覚がおかしくて贅沢をしていることに気付いていない。
  • 散財癖がある。
  • 賃貸暮らし。

とはいえ、年金をきちんと貰っていても、ある程度の資産(貯蓄金や投資金)がないと厳しいのは変わらないです。

若い時期に生活レベルが高かった人は、年老いて生活レベルを下げることが難しいと思うので、年金だけでは生活は難しいと思います。

まあ、そういうリスクが分かっていて資産を作っているとは思いますが。

何にせよ、現時点の高齢者たちが言う「お金がない!」は全然当てにならないので信じない方が良い、というのが個人的見解ですね。

本当にお金がない人は、そんなことも言えないくらい精神的にまいっていることが多いと思います。

また話が大分逸れてしまいましたので戻します。

目次

いざ、年金事務所へ!

年金事務所にいく数日前に奥さんから新情報がもたらされます。

亡くなった旦那さんが過去に数年間だけ国家公務員として働いていた時期があって、そこからも年金が支払われていた。(ただし、少額)

ということです。

なんで直前に言うんですかーと思いつつも、情報を整理。というか書類漁り。

どうやら、「国家公務員共済組合連合会」というところから支払われていたようです。

あれ?年金って2つところから同時に貰えないはずでは?と思い調べてみたところ、

旦那さんが国家公務員だった時期に年金の積み立てをしていて、公務員の年金が平成27年頃に民間の厚生年金と統合したようなのですが、色々あって年金払い退職給付のような形で本体の厚生年金とは別に、額は少ないけど支給されていたようです。

正直、調べていると時間がどんどんなくなっていくのと、頭が痛くなってきたので、ざっくりだけ概要を把握して年金事務所にこの件に該当する書類も持っていくことになりました。

あとは年金事務所の人かジェバンニが何とかしてくれる・・・!!と他人頼り。

こういうときのために普段から夫婦間、家族間での情報共有はきちんとしておいてほしいなと思ってしまいます。旦那さんは口数が少ない人だったので残された人が「何も知らない」「そうだっけ?」「聞いていない」ということが起きがちでした。

その情報共有不足は、年金事務所での申請時にも影響がありました。

遺族年金の申請手続き開始

奥さんに同行して、年金事務所に着いたのは午前10時すぎ頃。

予約していた時間よりも1時間近く早く着いてしまったので、ひたすら待ちます。この待ち時間はほんと暇。(奥さんが超せっかちなので目的地に早く到着していないといけない)

時間になって予約番号を呼ばれて、いざ申請。

持参した物を窓口担当者に言われるがままに提出していきます。

そして次々と言われるがままに記入していきます。代筆で僕が。もちろん確認しながらです。

奥さんは手の震えが激しいため、文字を書くのを嫌がる傾向にあります。代筆できるものは僕が代筆して、どうしても本人署名でないといけないところは奥さんに直筆してもらっています。

窓口担当さん

旦那様が過去に支払った年金一覧をお出しするので、合っているかをご確認お願いします。

そう言うと、窓口担当さんは数枚用紙を渡してくれました。

そこには旦那さんが過去に支払った年金の詳細が書かれていました。

いつからいつまで支払ったのか、どこに勤めていたときにどれだけ支払ったのかが明記されています。(職場の名前も記載あり)

渡されても僕にはさっぱり分からないので、奥さんに確認してもらうことになりました…が、奥さんも「合っているのか分からない」と。

どこで働いていたのかも分かるところと分からないところもあり、どれくらい働いていたのかも分かるところと分からないところもある感じでした。

僕としては、奥さんが分からないなら誰にも分かるはずもないので、年金を支払った合計月数と照合して合っていれば合っていると判断するしかありません。

未払い時期があったとしても、それがきちんと反映されているのかされていないのかも僕には判断できません。その結果、この渡された資料に記載されている内容が間違っていて遺族年金の支給額が減ったとしてもしかたがないのです。

後から修正は不可能なので、この場で照合を完了させないといけません。

いつまでも書類と睨めっこするわけにもいかないので、分からなくても一通り奥さんに見てもらって、これで合ってますということにしました。

年金事務所での共済年金の位置づけ

さて、通常であればここまでのやり取りでほとんど申請完了なのですが、亡くなった旦那さんが国家公務員だった時期に積み立ててあった別の年金があったことは直前に奥さんの情報によってもたらされています。

その年金の件を窓口担当者にも伝えます。

別の年金———所謂、「共済年金」として位置づけされているものです。

共済年金で調べてもらえれば分かりますが、この制度は現在は廃止されていて、厚生年金制度に一元化されているようです。詳しいことは分かりません。

共済年金(と呼ばれていたもの)に関する書類を窓口担当者さんに渡すと、

窓口担当さん

少々お待ちください

と言って、奥の方へ行ってしばらく戻ってきませんでした。

ようやく戻ってきたら、共済年金の処理も年金事務所の方で受け付けてくれるとのことで、結果的にお願いしました。

年金事務所で受付→共済の方に書類を回して処理をする、という形になるとのことでした。

更に、旦那さんが亡くなった月の年金分を未支給年金として受け取れるそうなので、その手続きも一緒にしました。

担当者が確認事項を詳しく説明してくれた

ここまでで遺族年金に関する手続きが完了したそうなので、最終確認を含めて説明をしてもらいました。

窓口担当さん

共済年金などもございましたので、まずは年金機構で本日受け付けた分を処理したあと、共済のほうに書類を回してという形になります。
そのため、お時間が他の方よりもかかります。
年金機構の方は、だいたい1~2ヶ月したら年金証書という遺族年金の証書がお母さまのところに郵送されます。
更に1~2ヶ月後に支払い通知書というハガキが届いて、そちらで何月何日にいくら年金が入りますというご案内が届きます。2段階のご案内の後に実際に口座に振込という流れになっています。

なるほど、今日最初に申請した遺族年金と国家公務員だった時期に積み立てした共済年金は別処理になるということですね。

だいたいトータルでどれくらいに遺族年金の受け取りが始まるのですか?

トータルで3~4ヶ月後になります。初回のみ遡って、一括してお支払いになります。

※もしも振込みが8月になったとしたら、1~8月分の遺族年金額が一括で振込みされるということ。

普通の年金と同じ日に振り込まれるんですか?

遺族年金の定期の受け取りは、今受け取っている老齢年金と一緒で偶数月の15日にお支払いになります。2ヶ月に1回の受け取りになります。
初回のみは奇数月になる場合もございますが、いずれにしても通知書のご案内で届きますのでそちらでご確認ください。

そして、遺族年金の受け取り金額が記載された用紙を見ながら説明が始まります。(概算金額です)

窓口担当さん

ざっくりとですが説明いたします。
お父さまの今まで受けていた老齢厚生年金の4分の3の金額(報酬比例部分)になります。
その金額というのが、一番上の金額になっています。さらに年齢によって加算される方がいて、お父さまは該当されています。
この合計額があるんですけど、お母さま自身がすでに老齢厚生年金を受け取っているので、年金というのは1人1年金になっていますので、老齢と遺族両方が受け取れない部分があります。(そういう組み合わせもあるらしいが…)
その関係で停止になってくるのが老齢厚生年金を受け取っていることによって、これだけの停止額が発生します。
なので結果として、ここから差し引いたこの金額が遺族厚生年金として発生します。

なるほど、わかりやすい。僕は渡された用紙を見ながら頷いた。

窓口担当さん

この合計額があるんですけど、お母さま自身がすでに老齢厚生年金を受け取っている状態です。
年金というのは1人1年金になっていますので、老齢と遺族両方が受け取れない部分があります。(そういう組み合わせもあるらしいが…)

その関係で停止になってくるのが老齢厚生年金を受け取っていることによって、これだけの停止額が発生します。
なので結果として、ここから差し引いたこの金額が遺族厚生年金として発生します。

ふむふむ、なるほど。

隣で一緒に話を聞いている奥さんは、この時点で話を聞くのを止めた態勢に突入していました。

大丈夫です、僕が聞いておくんで。

窓口担当さん

こちらにも書かせていただきましたけど、ここは今までのお母さまの老齢年金の合計額、年額になります。
今後お父様の遺族厚生年金として発生した金額、こちらとこちらの合計額がこれくらいになるんですけど、さきほどの支払い停止額が入って、結果としてこの金額くらいになります。

おー、なるほど。

窓口担当さん

そうするとお母さまの今後の年金は、今まで通り老齢厚生年金は受け取れます。更に遺族年金が追加になってきますので、これとこれの合計額になってきます。
そうすると、こちらとこちらの合計額ですね。これくらいの概算見込み額ということで、年額でこちらになっています。

おお、概算金額だけど思った以上にもらえそうなんですね。

窓口担当さん

これなんですけど、共済の期間は計算に入ってないんですよね。
共済の方はこちらで金額を算出をすることができないので、一応これはご参考までなんですね。だいたいの目安でお考えいただいて、あとは後日振込通知書や年金証書で確認できるので、そちらで確認お願いします。

なるほど。国家公務員だった時期の分は別枠なので、今回の概算額には入ってないということですね。

窓口担当さん

お父さまが亡くなったのが昨年12月ですので、亡くなられた翌月から発生する(翌年1月分から発生する)。そこからの年額ということで考えてください。

そうか、年金は1月スタートで考えてくださいってことなんですね。

窓口担当さん

亡くなられたのが12月なので、お父様の年金としては12月分まで発生します。
ご存命であれば12月、1月と2ヶ月分が2月に振り込まれる予定だったんですけど、12月分の1ヶ月分がまだ受け取っていないということになりますので、それをさきほど未支給年金の請求書、あれで確認が取れ次第、それは遺族年金とは別に振込されることになります。
その未支給年金も振込通知書で案内が届きます。両方とも3~4ヶ月くらい目安にしてください。

これは要チェックな情報ですね。

未支給年金が遺族年金とは別で振り込まれるということ。覚えておかねば。

亡くなった月の分は1ヶ月だけど年金貰えるのは嬉しいですね。

窓口担当さん

遺族年金、老齢年金は、ご自身が亡くなるまでずっと受け取ることができます。
ただし、遺族年金は「失権」といって権利がなくなることがあるのでご注意ください。

それは、お母さま自身が再婚したとき。入籍してなくても事実婚も対象。その場合は廃止になります。つまり、お父さまと縁が切れた時に失権します。

なんと、これも要チェックな情報ですね。

遺族年金は亡くなった人との縁が切れたら受け取れなくなると。

さすがにこの年齢から再婚したり事実婚したりはないと思うので大丈夫だとは思いますが、したらしたで別に良いって感じですね。そこらへんは自由で良いかと思います。

こういうリスクがあるよってことで覚えておいてくれれば良いかと。

窓口担当さん

共済がある関係で、今回は見込み証書をお渡しできません。この書類の方は回させていただきます。
今日お預かりした請求書は、未支給年金の請求書と遺族年金の2つとなります。

共済分があるので、目の前に出して説明されていた概算額などが書かれた書類は持ち帰れないようです。残念。

でもしっかり、記憶した。遺族年金の金額を記憶したよ!

窓口担当さん

今日はこれでお手続きを進めますけど、何か誤りとかありましたらご連絡いただければと思いますのでご確認ください。

請求書について、何かご質問ありましたらこちらの電話番号にお問い合わせください。こちらのほうでも審査の段階で確認したいことがあったら、この番号から発信してかけさせていただきますので、その際はご対応お願いします。

奥さんの自宅電話番号だけでなく、僕の携帯番号も記入しました。

遺族年金の手続き完了

ということで、以上で年金事務所での遺族年金の申請(+未支給年金の請求)の手続きが完了しました。

「いくらくらいもらえるんだろうねぇ。少しでも貰えるなら嬉しいわねぇ」と言っていた奥さんですが、案の定といいますか、途中から話しを聞いてなかったみたいです。

窓口担当者があれだけ分かりやすく説明してくれていたのに、聞いているようで全く聞いていない。それが高齢者あるある。

「大丈夫です。僕が覚えているので、後で教えますね。」と奥さんに伝えて帰る準備をします。

年金事務所の担当者さんに御礼を伝えて、その足で僕たちは区役所へ向かいました。NHKの受信料の申請をするためです。

そのへんは次回、書きたいと思います。

まとめと次回予告

今回の年金事務所での滞在時間は2時間申請は約1時間半ほどで完了しました。

共済の件があったので、その分の時間は追加されたと思いますが、通常でも1時間は見ておくと良いかと思います。

予約はしてあるけど、前の人が遅かったら遅くなっていくこともあると思うので。

結果的に、
年金証書が届いたのは申請から4ヶ月後、遺族年金が振り込まれたのが申請から6ヶ月後でした。

そのへんのまとめ記事も次回、書きたいと思います。

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