親族の介護を手伝った話⑰~旦那さんを2日間かけて病院に連れていくことになった。1日目は循環器科。

前回までのあらすじ

親族の介護を手伝うことになり、現状の把握と経緯を確認。
介護対象者は70代老夫婦の旦那さん。
旦那さんが寝たきり状態になって、要介護1から要介護5へと変更。
ケアマネジャーさん、ヘルパーさんたちと協力しながら自宅介護とショートステイを繰り返す。
その間に、特養施設の入所申込をして、施設見学に行ったり、自宅面談したりと打ち合わせを経て、何とか本入所が決定。契約も終わり、他施設に断りの連絡を入れたりして、いったんの一区切り。
看取りカンファレンスを受講後、今度は旦那さんを病院に連れていくことになって病院へ行って診察。処方箋をもらって経過観察。
長男さんがお見舞いにきたり、歯科検診後に抜歯したり。
季節は冬に代わり12月。施設から連絡がきて、旦那さんを再度病院に連れていくことになった。

前回の記事で、旦那さんを再度病院に連れていくことになり、病院予約などの日程調整のため奮闘。

今回は2日間に分けて病院に行くことになりました。そして、いよいよ当日になりました。

目次

施設に寄ってから循環器科へ

前回の病院日と同じくらいに早起き(6時起床)して、家を出て電車に乗り込みます。ちょうど通勤時間帯なので車内は鮨詰め状態なのは相変わらず。

しかしこういう日に限って、電車遅延が起きてしまうのもいつものことです。朝は電車遅延がない日の方が珍しいのです。

ギリギリで施設に到着して、前回同様に保険証を窓口で受け取ります。今回は紹介状(症状詳細)も受け取りました。施設の人が旦那さんを運んできてくれて、一緒に送迎車に乗り込みます。

今日の旦那さんは顔色があまり良くないように見えて、眠っているのか目を閉じている状態でした。
看護師さんによると、最近は1日の半分は寝ている状態とのこと。

それから車で20分ほどして目的の病院に到着です。

奥さんは先に病院の出入口で待っていてくれました。受付も先に済ましておいてくれたみたいです。その後、追加で保険証と紹介状を渡してもらいました。

施設の運転手さん

では、病院が終わったら連絡をください。迎えにきますので。

前回と同様にお礼を伝え、僕らは病院内へ。
今日は循環器科です。

大きい病院だけあってか、待ち時間は本当に長かったです。名前(番号)を呼ばれて診察室に入ったのは、受付から1時間後でした。

循環器科の先生

今日はどうしました?

え。

そうです、ここでまた誤算です。

「施設からいただいた紹介状に、症状の詳細が書いてあると聞いているのですが・・・」

循環器科の先生

うーん。これだけじゃ、ちょっと分からないですね

紹介状は一応読んだみたいですが、内容詳細が足りなかったのか、結局また僕が症状を説明することになりました。

前回の病院のときもそうですが、旦那さんの症状に詳しいのは僕じゃなくて施設の人なのに・・・。

まあ、こんなこともあろうかと今回はきちんとスマホにメモってきてあったで、それを見ながら先生に説明しました。ただ、普段の旦那さんの様子についての詳細は答えられませんでしたけど。

循環器科の先生

わかりました。じゃあとりあえず検査してからまた診察しましょう。

ということで、検査です。

この日は、診察→血液検査→心電図→レントゲン→再診察という順番でした。

検査もやっぱり時間がかかって、全部の検査が終わったのが1時間後でした。再診察までまた待機です。


しばらくして、名前(番号)を呼ばれて、再度診察室に入りました。

循環器科の先生

食事ってきちんと取ってます?栄養が全然足りてないです。これを見てください。

そう言って先生は検査の結果を僕らに見せてきた。

循環器科の先生

このアルブミン値が「1g/dl」になってる。端的に言えば、栄養失調です。入院レベルの。この状態だと、もう当人は意識がほとんどなくて虚ろな感じだと思います。

「えっ!?」

僕と奥さんは声を揃えて驚いた。

◆アルブミンとは?

血液中に存在する様々なタンパク質の中で最も量が多いタンパク質のこと。
正常値としては3.9g/dl以上、5g/dl以下

循環器科の先生

それとこの肺のレントゲンですけど、前回撮影したときと比べて、肺が真っ白になってます。もっと詳しく検査しないと何とも言えませんが、おそらく肺に水が溜まっていて肺炎の可能性があります。

今回の病院は、旦那さんが行きつけにしていた病院なので、以前撮影したレントゲン写真(約半年前の)も残っていました。そのときの写真と比べても確かに白い。素人目でもよく分かる白さになっていました。

たしかに、最近少し咳が多くなってきていたような気はしていました。

循環器科の先生

〇〇さーん(看護師さんの名前)、入院の準備をして。

先生は、看護師さんを呼んで入院の準備を進めようとしていました。

「入院ってどれくらいの期間になりますか?」

循環器科の先生

うーん、この状態だと入院も何ヶ月かかるか分からないし、完治できるかも分かりませんね。退院できるのもいつになるか断言できないです。

特養施設の利用契約上、3ヶ月以上部屋を空けるとなると、強制退去になってしまいます。(その期間の部屋代は別途発生します)

もしも、入院してから3ヶ月後に症状が回復した場合は、特養に戻ることはできないということです。そのときはまた自宅介護が始まり、今までの一連の申請・やりとり等を最初から行うことになるのです。

奥さんの意志は、最初から変わりません。自宅で旦那さんの最後を看取りたくない。特養での看取りに合意しているので、特養で看取りたいという確固たる意志と覚悟があります。

まあ、もしも最初から手続き申請やり直しとなったら僕が全部手続きするわけですけども。一度したことがあるからある程度は理解できているので、前回よりかはスムーズにできるかなと思っていました。

しかし、自宅介護の負担は奥さんにも大きな負担になります。またあの日々が繰り返される可能性が出てきてしまったので、駄目元で先生に聞いてみることにしました。何とか入院を保留にする方法がないのかを。入院するとなると施設にも連絡しないといけませんし。

「今、旦那さんは施設に入っていて、そこで色々と生活のお世話をしてもらっているのですけど・・・」

そう、僕が話始めたとき、

循環器科の先生

ああ、そういえば施設に入っているんでしたっけ?
もしかして、看取りとかに合意しています?

「え?はい、してます。すでに看取りカンファレンスも受けています。」

循環器科の先生

そうでしたか。じゃあ入院はしなくて大丈夫です。ご家族の看取りの合意があるなら、そのまま施設で生活をしてもらうのが良いと思います。

「えっ!?そうなんですか」

循環器科の先生

はい。施設の方で生活を続けてもらってかまいません。

すいませーん!〇〇さん(旦那さんの名前)の入院キャンセルでー!

先生は、扉の向こうにいる看護師さんにそう伝えると、旦那さんの症状と処方箋についての話の続きを始めました。

循環器科の先生

処方箋なんですけど、この状態だと特に処方するものがない現状です。

「そうですか、施設の人に薬を多めにもらってきてほしいと言われているんですが・・・」

循環器科の先生

現状であえて処方箋を出すなら利尿剤くらいですかね。尿を出すというのは殺菌効果も含んでいるので。でもそもそも尿があまり出ていないってことは水分が足りていないと思いますね。まあ、とりあえず利尿剤を出しておきますよ。

衝撃の診察結果が終わり、時計を見ると12時を少し過ぎていました。会計もかなり混雑していたので、僕は施設に連絡して送迎車に迎えにきてもらうことにしました。

それからしばらくして、送迎車が到着しても会計がまだ終わっていなかったので、先に旦那さんと一緒に施設に戻って、あとで奥さんの家に寄って処方箋を受け取ることにしました。

施設に向かう車内で、旦那さんは車の揺れに対してずっと文句を言いつつ、譫言(うわごと)のように「母さん、もういいでしょ」と繰り返していました。

病院が終わって施設に戻り、今後の対応について話し合う

施設に到着すると、旦那さんはそのまま施設の人に部屋へと運ばれていきました。そして窓口で保険証を返却し、少し待機していると看護師さんがやってきました。

施設の看護師さん

お世話になっております。看護師のKです。今日の診察はどんな感じでしたか?

僕は挨拶をすますと、今日あった診察内容を伝えました。処方箋については、数日後にも皮膚科に行くので、そのときに一緒に持ってくることを伝えました。

そして追加で、現状について質問をしてみました。

水分はどれくらい摂取しているのか。
普段の食事の感じはどうなのか。食べてないことがあるのか。

施設の看護師さん

水分なんですが、正直なところ嫌がってあまり飲んでくれません。こちらとしては1日1000mlは飲んでほしいのですが、だいたい600mlくらいしか飲んでくれない感じですね。

食事は1日3食きちんと食べていることが多いです。でも日によって波があるようでして、最近は5割~10割と聞いています。

その状態でもアルブミンの値が1g/dlということは、栄養をもっともっと取らないといけないということだろう。知っての通り、旦那さんは寝たきり状態で、食事を自分で取ることはできないため、ミキサー食というものを摂取しているのです。

施設の看護師さん

水分を摂れない分、食事で栄養も摂れない分は、メイバランスという高カロリー飲み物があるのでそれで補えます。他のご家族の方でも使っている方がいます。
ただし値段がけっこう高めになってまして、そこはご家族と要相談となっています。

毎日手軽に栄養補給。介護食としても。
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なるほど、メイバランス。消費者庁が許可している総合栄養食品とのことです。

それを摂取することによって、水分と栄養の両方を補えるということみたいです。良いじゃん!と思って調べてみると、けっこうな値段。これを1日3本。

施設の看護師さん

やっぱり値段がネックでして、他のご家族ですと、1日1~2本に減らして使っていたりしますね。

まあそうなりますよねー。この値段だと。

施設側は今まで通りに食事の用意はしてくれますので、補助的な要素としてメイバランスのような商品を介護対象者に与える場合は、家族が毎回購入する必要があります。もちろん、通常の施設利用料金とは別になります。

「わかりました。では奥さんに相談してみて、どうするかをまたご連絡します。」

施設の看護師さん

よろしくお願いします。

そして話は数日後に控えている皮膚科について。

今回は紹介状があったけど、皮膚科のときは特にないということで、一応旦那さんの皮膚に関する症状について詳しく聞きました。看護師さんが撮影した写真も見ながら。

施設の看護師さん

皮膚の内出血は今は良くなっているんですけど、何かに触れたり叩いたりすると、すぐに黒くなる症状が出ているので診てもらったほうが良いです。

看護師さんとしばらく話していると、奥さんから連絡がきました。

どうやら会計も終わって自宅に戻ってきたようです。しかし、処方箋は出てなかったそうです。

「利尿剤だけ出してくれるって先生が言ってたのに・・・」

結局、先生は忘れてしまったようです。

まあ、元々処方箋は特に出しても意味がないって言われていたので今回はいらないかなと思ったのと、水分が不足している状態で利尿剤を飲むのもどうなのかなと思ったので看護師さんとも話して、利尿剤はなくても良いってことになりました。

このあともしばらく看護師さんと話をして、施設をあとにしました。

施設のあとに奥さんの家に寄る予定でしたが、処方箋が出ていないので、奥さんの家には寄らずに、僕はそのまま帰宅することにしました。帰宅したらもうすぐ夕方くらいの時間帯になっていました。


正直なところ、今回の診察結果を受けて、旦那さんの状態はあまり良くないように思いました。もしかしたら、あと数ヶ月しかもたないのではないだろうか、という考えが頭をよぎりました。

奥さん曰く、「特養施設に入れることになったときに、覚悟はしている」とのことなので、何かあったときにも動じないとは思いますが、その瞬間がいつくるのかは誰にも分かりません。

僕の方でもできることはするつもりですが、まずは数日後に控えている皮膚科ですね。

次回、「旦那さんを2日間かけて病院に連れていくことになった。2日目は皮膚科。」に続きます!

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