給油ポンプと僕

給油ポンプってあるじゃないですか。
今は自動で吸ってくれて、自動停止してくれるものが主流だけども、手でモキュモキュと地道に給油するやつもあるじゃないですか。


それを92円で買ったんです。
バイト先で必要なので買ったんです。
自腹で。

で、それを持ってバイト先に向かったわけなんです。
僕のバイクには、カゴが付いている。
そこに鞄を入れ、ポンプを入れて出発。

しばらく走って、バイト先まであと半分の道のりぐらいまでの所にきたときに、ふとカゴを見てみた。

ないっ!?
給油ポンプがないっ!?

一体どこで落としてしまったのか、カゴの中には鞄だけ。
給油ポンプはけっこう大きい物なのにも関わらず、落としたのに気付かないとは・・・。
まるで神隠しにあったかのよう。

今、この道を引き返して探しに戻るならば、ギリギリ出勤時間に間に合うか、もしくは遅刻
1分でも遅刻すれば、30分ぶんの給料がもらえない。(世知辛い退勤システム)
つまりは、515円貰えない。
給油ポンプが92円。
落とした給油ポンプのために、515円を無駄にする覚悟が・・・。

などと考えている間に、体はすでに動いていた。
走ってきた道を引き返す。
引き返しながら、ポンプを探す。

ないないないない・・・・。

そしていつの間にか、家の前。
そこにはいた。
力無くして倒れていた。
僕はすぐに駆け寄り、体を起こす。

「やっと見つけた、さあ行こう。」

そして僕らはやっと辿りついた。
目的地である職場に。
遅刻という名の、虚脱感と共に。

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