宅配の受取タイミングが合わない

荷物が届く日は、届くまで待っている。
前々から、荷物が届く時間に限ってシャワーを浴びていたり、トイレでがんばっていたりが多かったのでインターホンが鳴っても出れないことがしばしば。

「なんだよ、いないのかよ。クソが!再配達とか面倒なんだよ!」

と言い放っているのかは分からないが、そう言うと配達人は再配達の紙をポストに入れて去っていく。

「僕はいるよ。ここにいるよ」

と言っても遅い。
配達人は既にいない。

そんなことが多かったので、荷物が届く日は極力行動を起こさないようにしていた。
けれども、そうやって行動を起こさない日に限って荷物が遅れて夕方や夜に届く。
ひょっとして、僕の行動は見透かされている?
そう思うこともあり、僕は配達人不信に陥っていた。

奴らは僕を見張っている・・・!
怖い・・・!
怖いよ・・・!!
誰かにそのことを告げても変な目で見られる。

「は?何言ってんの?妄想?おつ」

「ほ、本当なんだよ!信じてくれよ!」

「あー、分かったよ。信じるよ。だからさ、今度ここへ行ってこい」

そう言って何か紙切れを渡された。
そこには赤い文字で住所が書かれていた。
僕はそこがどんな場所なのかも聞かず、後日その場所へ行った。

そして気づくと、僕は白い部屋にあるベッドの上にいた。
そこでは毎日、毎日、毎日、薬を飲まされて、色々質問されるんだ。
でも何だか心地良いんだよ。
外の世界を繋ぐのは部屋の隅にある小さな窓だけ。
でも覗いちゃダメなんだって。
何でかは分からないけど、怖そうだから覗かないようにしてる。

何ていう超展開にはならず、とりあえず荷物が届くと分かっている日は積極的な行動は控えていた。
そして今日、荷物がまた届くことになった。
ここのところ、ちゃんと受け取っているからシャワー浴びてもいいかな。
そんなタイミング悪く来ないだろ。
と思い、シャワーを浴びていると、ドンドンドンドン!!!
ドアが激しくノックされる音。
インターホンがけたたましく鳴っている。
そう、荷物が届いたのだ。
何というタイミングの悪さ。
もうこれは奇跡に近いね。
ああ、僕は今奇跡に立ち会っている・・・。
なんて感動しちゃったけど、ドアのノック音にぶち壊されちゃったよ。
とりあえず、濡れ濡れのまま、生まれたままの姿で風呂場を出てインターホンを取る。
ちょっとだけイライラしながら「はい?なんですか?」と聞く。

「宅急便です」

知っている。
知っているけど、僕は裸です。

「今、風呂に入っているんですよ~・・・」

「あ、じゃあ荷物置いて行きます」

「え!?あの・・・サインは・・・?」

「ああ、こっちでサインしておきます。置いておくのでなるべく早く取ってくださいね」

「え?いいんですか?」

「まあ、後で来てもよいですけど・・・どうしましょう?」

「あ、いえ、じゃあ置いておいてください」

「わかりました~、では~」

そう言うと、配達人さんは去っていった。
でも僕は裸。
サインって・・・いらないんだね。
誰でも良かったのね・・・。
酷い・・・!
わ、わたしは・・・本気だった・・・ん・・・。
気がつくと、シャワーと涙が入り混じった水溜りができていた。

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コメント一覧 (3件)

  • あははは(笑)
    エコも以前、道ばたで猫ちゃんが車にはねられて
    死んじゃってる事を市役所に電話したら
    連休中で人がいないから警察に言ってって言われ
    警察にかけたら
    「お名前を御願いします」って聞かれて
    「いや通りすがりの者なので、言わなくちゃいけないんですか?」
    ってたずねたら
    「偽名でかまわないんで御願いします」ですって
    んじゃ聞かないで適当に名前考えてよ・・・とは言いませんでちたが・・・
    偽名でも、ハンコなしでも意外といけるとこはあるみたいでしゅね
    あぁ、シャワーがしょぱいね・・・ヨシヨシ・・・
    生まれたままの姿が素敵な、まかないさんへ
    応援☆ポチポチっとな

  • ウンコをしていると宅配がやってきた。
    そう。
    時間指定までしたので、当然来るのはわかっていた。
    だが、悲劇は突然やってくるもの。
    たまたま、
    そう、たまたま、僕のお腹に10年に一度と言われるビッグウェーブがやってきてたのだ。。。
    波乗りジョニーでもない自分には大きな波など何の魅力もない。
    だが、奴は待ってはくれなかった。
    そして、僕は叫んだ
    ビッグウェーーーーーブ
    それと同時に中央に大きな穴の開いた椅子がある部屋へと飛び込んだ。
    くそぉ こんな時に。。。
    チャックが、うまく、あかない!
    ふぉおおお
    だが、波は小さくなるどころかどんどん大きくなり、もはやどうしようもないぐらいの大きさまで成長してしまった。
    おりゃーーー
    もう、チャックなど破壊してしまえ!
    お前には天から授かった無敵のパワーがある!
    チャックなど破壊だ!
    そして、無残にも破壊されたチャック。。。
    おかげで、ビッグウェーブも乗りこなす事に成功しそうだ。
    俺はやったよ!みんな!僕には帰れるところがあるんだ!
    そう思った瞬間だった。。。
    ピンポーン・・・
    なぬ!
    いっ、今はまだ、無理っす。
    波には第一波と第二波があったりして。。。

  • ECOさん>
    偽名もハンコなしも公認・・・。
    世の中テキトーですわ。
    たかぽんさん>
    あれ・・・?
    この話で1日のブログを更新できるんじゃ・・・!?

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