雨の中のコミュニケーション

コンビニを出ると、公衆電話で話している人がいた。



「雨が降っているもので、今どこにいるかよく分からないんです」

確かに雨は降っていた。
でも自分の居場所が分からなくなるほどの降りではない。
というか、雨が降って場所が分からなくなるってどういうことだろう。
雨のせいで場所が分からないのでなく、自分という存在を見失っているのではないのか。

「先ほどの件を社長にお伝えくださいますようお願いします」

なぜだか早口で片言。

「・・・え?社長って言ったら社長ですよ」

なぜだか揉めている様子。
何で揉めているのかは分からない。
会話ができていないのか?
相手に何も伝わっていないのか?
僕はその電話をしている様子を見て、会社員が打ち合わせか何かで外へ出ていて、その帰りに会社へ電話をしている、と思ったのだが・・・。
それは大きな勘違いなのかもしれない。
何だか相手との会話が噛みあっていない模様。

ああ、なるほど。分かったぞ。
これはイタズラ電話だ。
それならば納得がいく。
自分の居場所、いや、存在自体が不透明になった自分の声を誰かに届けたくて・・・。

「誰でもいい、誰でもいいから僕の話を聞いてくれ!」

そんな一心で公衆電話を使って昼から堂々とイタ電。
あまりの堂々さにイタ電なのか、会社への電話なのか分からない。

たいした・・・奴だ。
そう思いつつも、本当にイタ電だったら相手はいい迷惑だな、と思った昼下がり。
雨って人の心までも澱ませるのか。

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コメント一覧 (5件)

  • 電話から想像する世界ですね。
    ところで公衆電話、減りましたね。
    私ももう何年も利用したことがありません。
    携帯は便利ですけど自由が拘束されるリスクもありますね。
    イタズラ電話や迷惑メールも増えましたね。
    応援!

  • >自分という存在を見失っている
    上手すぎて吹いたww
    たまにこういう感じでほんとに何の仕事をしているのか謎な人の電話耳にしますよね(´・ω・`)まかないさんが刺されなくて良かったww
    知り過ぎてしまった…みたいなね…フフ…

  • その人は、雨の妖精さんなんですよ。
    で、予定とは違う所に舞い落ちてしまったので、
    雨会社に救助を要請・・・(なんちゃって)

  • おっと、不思議さんだったんでしょう。
    うちの近所に中学校があって、その公衆電話から迎えを頼んでいるっぽい学生さんはよく見かけるけど、大人で公衆電話って今見ないね~。

  • 自分の居場所がわからないってww
    それがイタ電なら確かに迷惑ですね。まぁ、俺もたまにやってますがwww

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