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チョコが溶けちゃう!

真冬な気温です。
春は遠いですね。
気温が高くなれば、

「この季節にこんなに気温が上がるなんて異常!温暖化してる!」

けれど、逆に真冬の気温に下がっても

「今日は真冬並みの気温ですって。寒いわねー」

と普通。
この差は一体何なのか。
温暖化は人気あるのに、寒冷化は人気がないのか。

「いいなー、温暖化さんは人気あって。ちょっと気温高めにするだけでみんなが騒ぎだすのに・・・俺なんて・・・」

「まあ、そう落ち込むなよ寒冷化くん。これでも食べて元気だしてよ」

そう言って、温暖化さんが渡してきたのは・・・


ビックリマンチョコ・・・?

「ああ、ビックリマンチョコだよ。昔は30円だったのにな。今じゃ84円だぜ?これも温暖化の影響かなー。なんてな、ハハハ」

「なぜこれを僕に・・・?」

「ああ、ほら、俺ってば気温高いじゃない?人気も高いけどさ。だからチョコ系は溶けちゃうんだよね」

「はあ・・・」

「懐かしくて買ったけどさ、チョコが溶けたら美味しさ半減じゃない?それなら、寒冷化くんに渡して食べてもらった方がいいんじゃないかなって。寒いと溶けないでしょ?チョコはさ」

「確かに気温は僕の方が寒いし、チョコは溶けないと思いますけど・・・」

「あれ?なになに?不満そうだねー。あ、わかった。寒冷化くん、君ってお菓子食べないでシールだけ集めてたタイプでしょ?まあ、分からないでもないけどね。昔いたもん、箱買いしてシールだけ取り出してお菓子は捨てちゃうやつ。あれは良くないよね。ビックリマンチョコはお菓子が主役でシールがおまけなんだから。食べ物を捨てちゃうなんてマジもったいないよな。怒りで気温がまた上がっちゃうよー。なんてね、ハハハ」

「はあ・・・、いや、あの別にちゃんとお菓子も食べてましたよ。だって美味しいじゃないですか、ビックリマンチョコ。お菓子もしっかり食べて、シールも集めてましたよ」

「おおー、寒冷化くんは偉いねー。てかそれが普通だよね。だって小さい頃は親のお金で買うわけでしょ?それをシール目当てで開けて、お菓子は後で食べるから取っておいてね、なんて言って結局は食べないしさー。温暖化になって食料が不足したときに『あのときのビックリマンチョコ、食べておけば良かったな・・・』なんて思っても遅いっつーの!なんてね、ハハハ」

「そうですね、確かにもったいないですもんね。シールもお菓子も楽しむ。それがビックリマンですよね、じゃ、ありがとうございました。僕、帰りますんで・・・」

「あれ?もう帰っちゃうの!?寒冷化くんは冷めてるなー。あ、冷めてるのは当たり前か。ごめんごめん。でもちゃんと食べてね。一応、賞味期限あるからさ」

「はい、ありがとうございます」

寒冷化は帰宅途中、ずっとイライラしていた。
そう、温暖化の態度にだ。
いくらみんなが騒ぐからと言って、最近少し調子に乗っているような気がする。
昔は自分と同じくらいの立場で、仲良くやっていたのに、ここ数年は上から目線だ。

氷河期がくる。
そう言われたこともあったが、結局来たのは就職氷河期だけだった。
それじゃダメだ。
温暖化を見返せない。

「いつか絶対に温暖化を抜いてやる・・・!僕が一番だって証明してみせる!」

寒冷化も、最初は温暖化に昔のように仲良くやっていきたいと思っていたのだが、段々と変わってきた温暖化に対して、今はもうそのような気持は微塵もなかった。

「くそっ!何がチョコは暑さに弱いだよ!てか今、ビックリマンのストーリーどうなってんだよ!・・・まあ、せっかくもらったし、美味しいから食べるけどさー」

封を開けてまずはシールを取り出す。

「悪魔か・・・。今は悪魔シールでも光ってるんだな。昔はヘッドシールだけしか光ってなかったのにな」

寒冷化は、文句をぶつぶつ言いながらお菓子を食べた。

「味は昔と変わってないな・・・ん?・・・うっ!!!」

寒冷化はチョコを吐き出した。

「な、なんだこれ・・・?変な味が・・・」

そして急な睡魔に襲われる。
何か入っていたのか・・・?

「く、くそ・・・やられた・・・温暖化のやつ・・・人気を・・・独り占めにする気かよ・・・!」

寒冷化は猛烈な眠気に対抗したが、視界はゆっくり霞んでいった。
その頃、温暖化は・・・

「そろそろチョコを食べて眠ったころかな・・・。あれを食べれば寒冷化は当分目を覚まさないだろう」

寒冷化は俺のことを恨んでいるだろうな。
世間に注目を浴びて天狗になった俺のことを。
でも俺も気づいたんだよ。
対等の立場でバカやってたあの頃が一番楽しかったって。
だから戻りたかったんだ。
あの頃に。
でも戻ることなんてできない。
世間の注目はもう俺一色だったから・・・。
だから俺は憎まれることにしたんだ。寒冷化に。
いつも上から目線で話せば、俺のことを嫌になるだろう。
そうすれば、今から俺がすることだって別になんてことも思わないはずだ。

「俺は、この世界を・・・滅ぼす」

そう、かつて寒冷化がやったことと同じことをするのだ。
あの大昔の恐竜時代を滅ぼした氷河期のように。
あのとき、寒冷化は本当は氷河期なんて起こしたくなかった。
でも仕方がなかった。
どちらかがやらなくてはいけなかったんだ。
迷い続ける俺を見て、寒冷化は自分から・・・。
だから今度は俺の番だ。
今度は俺が滅ぼす。
だから今は眠っていてくれ。
起きた時にはまたあの頃のように、対等の立場で笑えるように・・・なればいいなぁ。

という妄想をしつつ、久々に買ったビックリマンチョコは美味しくいただきました。
でも正直、高いお菓子だわ。これ。

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コメント一覧 (2件)

  • て今ほんとどうなってんだろ?シール裏の文面考えてる人って頭おかしいよね、イロイロと。温寒化じゃなくて寒冷化じゃね?チョコは冷やして食った方が美味いよねー

  • オレさん>
    あ、ほんとだ。
    直しておくわー・・・
    ビックリマンは過去と未来がごっちゃになっている感じ。

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